できるだけ抜歯しない矯正
できるだけ抜歯しない矯正
矯正相談に行ったら歯を抜かないと矯正できないといわれ、ショックを受けてしまった。
このような経験をされた方はいらっしゃいませんか?
当院はできるだけ歯を抜かない矯正治療を心がけています(※)。矯正治療の患者様のうちお子様から始めた場合ですと約8割、大人でも約5割の方が非抜歯で治療を行っています。もちろん、子どもに比べて成人の方が抜歯率は高くなりますが、それでも一般的にいえば高い非抜歯率といえます。
このページでは当院の抜歯・非抜歯の考え方についてご説明します。
※もちろん、すべての患者様が非抜歯で矯正治療ができるわけではありません。歯やあごの状態、あるいは顔つきなど総合的に判断したとき、歯を残しておく事で全体のバランスが崩れてしまうことがあります。そのようなときは患者様にきちんと説明したうえで歯を抜くこともあります。矯正治療中の抜歯を心配している方は、一度ご相談ください。
抜歯は総合的な判断を元に行う
歯並びが悪い方は、口もとがとても気になるといいます。不正歯列の程度によりますが、矯正医の立場から考えてもやはり見た目は大切です。
たとえば口もとが前に突き出していると、口が閉じられず半開きの状態です。そうすると口の中が乾燥し歯肉の抵抗力が弱くなり歯周病になりやすく、将来的に歯がぐらついてくる可能性が高くなります。
当院は歯並びと噛み合わせとともに、舌や頬の軟組織(なんそしき)の筋肉の動きなど考慮しながら、総合的な矯正治療を行います。
歯を抜かないための3つの工夫とは?
当院ではできるだけ歯を抜かないために、次の治療とアドバイスを行っています。
その1
できるだけ早い時期から矯正治療を始めること。8歳くらいから小児矯正を始め、その後11~14歳頃から永久歯(成人)矯正を始めます。
その2
時間をかけて骨を広げていきます。骨を確実に拡げるためには、お口の中の環境、特にお口を支える筋肉の適応が重要であるため、ある程度の時間が必要です。また、骨だけでなく短期間で歯を移動させると元の状態に戻りやすくなりますので、ある程度時間をかける必要があります。
その3
噛む力をつけること。お子様の場合、噛む回数を増やす事で口の周りの筋肉が発達し、あごが広がります。骨格系によりますが、食べ物をしっかり噛む指導をしています。
歯を抜かないために予防矯正(小児矯正)の勧め
子どものうちに矯正治療を始めると、歯を抜かず矯正治療が行える可能性が高くなります。お子様の体の成長期に合わせて治療を行えば、成長を利用してあごの骨が広げられます。大人になってからでは顎を切り入院を伴う外科矯正治療の回避も可能になります。
治療開始時期が早ければ早いほど、その後の成人矯正期間の短縮が可能です。また、子どものうちにある程度歯並びや噛み合わせを整えていますので、その後の治療も比較的楽になります。
しかし小児矯正で歯並びが整っても、早く装置を外すと噛み合わせや骨の位置がずれる事があります。たとえば受け口の治療後13歳くらいで矯正装置を外しても、まだ骨格の成長が残っているため、あごが前方に延びてしまうことは珍しくありません。治療後の戻りを防ぐためにもある程度症状が改善されたあと、しばらく様子を見ながら適切な時期に装置を外すように心がけています。
矯正歯科治療に伴う一般的なリスクや副作用について
- 最初は矯正装置による不快感、痛み等があります。数日間~1、2 週間で慣れることが多いです。
- 歯の動き方には個人差があります。そのため、予想された治療期間が延長する可能性があります。
- 装置の使用状況、顎間ゴムの使用状況、定期的な通院等、矯正治療には患者さんの協力が非常に重要であり、それらが治療結果や治療期間に影響します。
- 治療中は、装置が付いているため歯が磨きにくくなります。虫歯や歯周病のリスクが高まりますので、丁寧に磨いたり、定期的なメンテナンスを受けることが重要です。
また、歯が動くと隠れていた虫歯が見えるようになることもあります。 - 歯を動かすことにより歯根が吸収して短くなることがあります。また、歯ぐきが痩せて下がることがあります。
- ごくまれに歯が骨と癒着していて歯が動かないことがあります。
- ごくまれに歯を動かすことで神経が障害を受けて壊死することがあります。
- 治療途中に金属等のアレルギー症状が出ることがあります。
- 治療中に「顎関節で音が鳴る、顎が痛い、口が開けにくい」などの顎関節症状が出ることがあります。
- 様々な問題により、当初予定した治療計画を変更する可能性があります。
- 歯の形を修正したり、咬み合わせの微調整を行う可能性があります。
- 矯正装置を誤飲する可能性があります。
- 装置を外す時に、エナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、かぶせ物(補綴物)の一部が破損する可能性があります。
- 装置が外れた後、保定装置を指示通り使用しないと後戻りが生じる可能性が高くなります。
- 装置が外れた後、現在の咬み合わせに合った状態のかぶせ物(補綴物)や虫歯の治療(修復物)などをやり直す可能性があります。
- 顎の成長発育により咬み合わせや歯並びが変化する可能性があります。
- 治療後に親知らずが生えて、凸凹が生じる可能性があります。
加齢や歯周病等により歯を支えている骨が痩せると咬み合わせや歯並びが変化することがあります。その場合、再治療等が必要になることがあります。 - 矯正歯科治療は、一度始めると元の状態に戻すことは難しくなります。