矯正治療の期間・流れ
矯正治療の期間・流れ
矯正治療を行うにあたって大切なのは”決断”です。矯正治療は決して楽ではありません。しかし、美しい口もとで微笑んでいる方が増えているのも事実です。
矯正治療中は、矯正装置(特に固定式装置)の回りに歯垢などの汚れが付着しやすく、むし歯や歯周病の危険性が増加します。当院はこれらに対応するため、予防プログラム診断、フッ素塗布、歯のクリーニングに関しては特に費用を頂いておりません。
このページでは矯正治療の期間・流れについてご説明します。
治療期間の目安は2年間 ※中学生以上(永久歯列期)の場合
当院は、歯を実際に動かしている矯正の動的治療期間は約2年間を目安にしています。2年という期間は長く感じられますが、歯を動かすにはそれ相応の時間が必要です。無理をして急いで動かそうとすると歯槽骨と歯根に負担がかかり歯の寿命を縮めますので、歯を守るために適度なスピードで動かします。矯正装置が外れると保定期間に入ります。保定期間は通常1年から2年で、これで矯正治療は終わります。
※近年、矯正の動的治療期間を短縮できるとされている「デーモンシステム」装置が登場しました。
当院は「デーモンシステム」を採用していませんが、ワイヤーとブラケットの装置の接続の仕方など様々な治療方法の応用により、デーモンシステムと同等のローフリクション効果(ワイヤーとブラケット装置の摩擦が小さいこと)を実現し、治療期間を短縮しています。
ケースバイケースですが1年以内に終了することもあります。逆に、デーモンシステムは、ワイヤーとブラケット装置の摩擦を大きくして矯正治療をしたいときは、不利になる傾向があります。
ちなみに、矯正治療はある種職人技のような所があるため、当院は新しい装置や方法に慎重な姿勢をとっています。もちろん積極的に学会や研修会や勉強会に参加したり、インターネットや書籍で最新情報を収集していますが、実際に取り入れるかどうかは別の次元です。使い慣れた優れた装置で確実な治療効果を挙げる事が重要だと考えているからです。当たり前の事ですが、患者様は実験台ではありません。
矯正治療の流れ
(1)初診予約
矯正治療を行っている歯科医院に電話等で初診の予約を入れるのが一般的です。矯正治療は、医師の技術によるところが大きいだけに医院選びは重要。当院は院長が、日本矯正歯科学会認定医、日本成人矯正歯科学会認定医の資格を取得していますので、安心して矯正治療を行えます。
(2)初診・相談
歯科医師による矯正の診察を行います。患者様は気になることや疑問点を質問してください。診察にもとづいて大まかな治療の方向性が示されます。疑問や不安など些細な事でも積極的に質問する事が大切。
※矯正相談を受け付けています(子どもから大人まで/要予約)当院で一般歯科の治療を行っている患者様はもちろん、初めての患者様もお気軽にご相談ください(矯正相談に関しては、概要、治療の流れ、使用する装置、費用等をCD-ROMを用いながらご説明することもございます)。
(3)精密検査
診断と治療に不可欠な個別の診断情報を得ます。確定診断と治療計画(期間・使用する装置・費用等)決定のための詳しい検査をします。歯や顔・顎などの写真およびX線写真を撮る、歯型を取る、歯や歯肉の状態を調べ、様々な資料を収集します。
(4)治療計画の詳細・説明
コンピューター診断の検査結果にもとづき、具体的な治療の進め方・費用が示されます。精密検査の結果を元に、具体的な治療方法、期間とその支払方法を説明します。ここでも疑問点があれば遠慮なく質問を。
※むし歯や歯周病などが見つかった場合、そちらの治療を優先して行う事があります。
(5)矯正治療開始
動的治療の開始は、治療時期により内容が変わります。
1. 予防矯正(乳歯と永久歯が混在している混合歯列:およそ8~11歳まで)
顎の成長をコントロールしたり、前歯を整える治療を行います。種々の状況に応じて永久歯列になるまで定期観察を行います。月1回~3ヶ月に1回程度のご来院が必要です。この時期の治療は様々な装置の中から精密検査の結果によって、患者様に最適な装置を使用します。
2. 最終矯正(永久歯列:およそ12歳以降)
マルチブラケット装置で個々の歯の噛み合わせを調整します。通常、月に1~2回程度の治療で期間は約2年間です。装置には目立ちにくい透明なもの(クリアブラケット)もあります。また、ブラケットを使わない”クリアライナー”を使用することもあります(当院はクリアライナー認定の矯正を専門とする歯科医院です)。
※治療開始時期は、装置使用が可能であれば早い時期の方が有利な事が多いのですが、一概に言えないところもあります。
※具体的に、早くから矯正治療を開始するメリットとして、永久歯を抜かずに矯正治療を行える可能性が高くなること、成長を利用し上下左右の顎のバランスをより良く整えられる可能性が高くなり、顎を切って行う矯正治療(外科矯正)を防げること、予防矯正だけで矯正治療を完了できる可能性があること、等が挙げられます。
逆にデメリットは、トータルの治療期間が長くなる傾向が挙げられます。
(6)保定開始
きれいな歯並びと噛み合わせを安定させる治療を保定と呼び、下図の様なリテーナーを装着します。装着する保定期間は1~2年位で、3~4ヶ月に1回程度のご来院が必要です。最初の半年は食事を除いて一日中、半年以降は就寝時のみの使用です。
(7)治療の完了
保定期間を経て歯並びが安定したら治療完了です。
矯正治療を行うにあたって大切なのは”決断”です。矯正治療は決して楽ではありません。しかし、美しい口もとで微笑んでいる方が増えているのも事実です。矯正は、お口全体の治療で一生に一回だけです。費用は決して安くありませんが、その価値は高いのではないでしょうか!
※矯正治療中は、矯正装置(特に固定式装置)の周りに歯垢などの汚れが付着しやすいため、むし歯や歯周病の危険性が増加します。当院はこれらに対応するため、予防プログラム診断、フッ素塗布、歯のクリーニングを定期的に行っており、また、これらに関して費用を頂いておりません。
※家族控除制度:矯正治療費に対する家族割引制度(2人目以降、1人7万円まで)があります。
矯正相談(要予約)
当院の院長は日本矯正歯科学会認定医、日本成人矯正歯科学会認定医をもつ、矯正を専門とする歯科医師です。特定分野としての視点による矯正相談が受けられます。矯正治療の概要・治療の流れ・使用する装置・費用をCD-ROM等を用いながらご説明いたします。一般歯科の治療を受けている患者様から初めての患者様まで、関心のある方はお気軽にご相談ください。
矯正歯科治療に伴う一般的なリスクや副作用について
- 最初は矯正装置による不快感、痛み等があります。数日間~1、2 週間で慣れることが多いです。
- 歯の動き方には個人差があります。そのため、予想された治療期間が延長する可能性があります。
- 装置の使用状況、顎間ゴムの使用状況、定期的な通院等、矯正治療には患者さんの協力が非常に重要であり、それらが治療結果や治療期間に影響します。
- 治療中は、装置が付いているため歯が磨きにくくなります。虫歯や歯周病のリスクが高まりますので、丁寧に磨いたり、定期的なメンテナンスを受けることが重要です。
また、歯が動くと隠れていた虫歯が見えるようになることもあります。 - 歯を動かすことにより歯根が吸収して短くなることがあります。また、歯ぐきが痩せて下がることがあります。
- ごくまれに歯が骨と癒着していて歯が動かないことがあります。
- ごくまれに歯を動かすことで神経が障害を受けて壊死することがあります。
- 治療途中に金属等のアレルギー症状が出ることがあります。
- 治療中に「顎関節で音が鳴る、顎が痛い、口が開けにくい」などの顎関節症状が出ることがあります。
- 様々な問題により、当初予定した治療計画を変更する可能性があります。
- 歯の形を修正したり、咬み合わせの微調整を行う可能性があります。
- 矯正装置を誤飲する可能性があります。
- 装置を外す時に、エナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、かぶせ物(補綴物)の一部が破損する可能性があります。
- 装置が外れた後、保定装置を指示通り使用しないと後戻りが生じる可能性が高くなります。
- 装置が外れた後、現在の咬み合わせに合った状態のかぶせ物(補綴物)や虫歯の治療(修復物)などをやり直す可能性があります。
- 顎の成長発育により咬み合わせや歯並びが変化する可能性があります。
- 治療後に親知らずが生えて、凸凹が生じる可能性があります。
加齢や歯周病等により歯を支えている骨が痩せると咬み合わせや歯並びが変化することがあります。その場合、再治療等が必要になることがあります。 - 矯正歯科治療は、一度始めると元の状態に戻すことは難しくなります。