小児の矯正治療と装置
小児矯正について
「うちの子はどうやら、受け口みたい」「上の前歯が出ているので口を閉じられず、いつも前歯が見えている」――お子様の歯並びについてお悩みのご家族の方はいませんか?悪い噛み合わせをそのままにしておくと、実は将来たくさんのリスクを抱え込むことになります。
お子様が生涯にわたって健康的な生活を過ごすために、成長発育能力が高い子ども時代に骨格的なコントロールを行いながら、なるべく永久歯の抜歯をしない矯正治療をお勧めします。
子供の矯正で使用する装置について
当院は効率よく顎の成長をコントロールするために、主に「拡大プレート」「バイオネーター」「ヘッドギア」「フェイシャルマスク」を使った矯正治療を行っています。これらの装置は1日10時間以上、一年以上の装着で治療効果を上げます。より効果を上げるには、できるだけ長時間、長期間の使用が理想ですが、お子様の都合もありますのでライフスタイルに合わせた使用をご提案しています。
拡大プレート
床矯正(しょうきょうせい)とも言われ、取り外しできるプレート(床)により、歯の移動と、顎の骨の拡大を行う矯正治療です。取り外しが簡単ですので、お子様ご自身で食事の間は外せます。歯を正しい位置に動かすとともに、歯の土台そのものを正しい大きさに拡大します。床矯正装置にスクリューが装着されており、ネジを巻いてスクリューを移動させることで歯の土台を広げたり歯を動かします。
バイオネーター
主に下顎の成長を前方あるいは後方に誘導する目的の矯正装置で、下顎と上顎の噛み合わせをよくし、出っ歯や受け口や過蓋咬合を改善します。この装置は下顎を正しい位置に誘導するために、噛み合わせた時に下顎が適正に成長するよう作られています。ヘッドギア
上顎の成長が強すぎるために起きる上顎前突や出っ歯に適応し、上顎・第一大臼歯から後方に力をかけ、頭部から後ろに引っ張るように装着します。上顎の成長を抑え、上顎の奥歯を後方に移動させます。力の加え方を調整しながら顎の成長をコントロールします。取り外しが簡単に行え、就寝時か自宅内で使用します。
フェイシャルマスク
上顎の成長が悪く、下顎の成長が旺盛なため受け口になっているケースは、フェイシャルマスクを使用して矯正治療を行います。おでこと下顎の間についている金具に、上顎を前方に引っ張り、下顎を後方に抑えるためのゴムを取り付けます。これにより受け口を改善します。取り外しが簡単に行え、就寝時か自宅内で使用します。永久歯列期(歯の交換期以降)に使用する装置について
永久歯列期(歯の交換期以降)に使用する装置は、成人で使用する装置と同じです。
透明なマウスピースを用いたマウスピース型カスタムメイド矯正装置(旧クリアアライナー・現アソアライナー)
アライナーは透明ですので、装置を着けているのがほとんど分かりません。すべての症例で使用できるわけではありませんが、積極的に応用しつつあります(当院はマウスピース型カスタムメイド矯正装置(アソアライナー)認定の矯正を専門とする歯科医院です)。※カスタムメイド矯正装置完成物は完成物薬機法対象外(薬機法未承認)の矯正歯科装置(医薬品)であり、承認医薬品を対象とする医薬品副作用被害救済制度の対象外となる場合があります。
ブラケット装置
ワイヤーを使った矯正装置です。見えにくいセラミックやプラスチックの装置もご用意しています。クアッドヘリックス
主に上顎の歯を支える骨を拡大する装置です。パラタルバー
主に抜歯により獲得できたスペースを有効に利用するための装置です。矯正歯科治療に伴う一般的なリスクや副作用について
- 最初は矯正装置による不快感、痛み等があります。数日間~1、2 週間で慣れることが多いです。
- 歯の動き方には個人差があります。そのため、予想された治療期間が延長する可能性があります。
- 装置の使用状況、顎間ゴムの使用状況、定期的な通院等、矯正治療には患者さんの協力が非常に重要であり、それらが治療結果や治療期間に影響します。
- 治療中は、装置が付いているため歯が磨きにくくなります。虫歯や歯周病のリスクが高まりますので、丁寧に磨いたり、定期的なメンテナンスを受けることが重要です。
また、歯が動くと隠れていた虫歯が見えるようになることもあります。 - 歯を動かすことにより歯根が吸収して短くなることがあります。また、歯ぐきが痩せて下がることがあります。
- ごくまれに歯が骨と癒着していて歯が動かないことがあります。
- ごくまれに歯を動かすことで神経が障害を受けて壊死することがあります。
- 治療途中に金属等のアレルギー症状が出ることがあります。
- 治療中に「顎関節で音が鳴る、顎が痛い、口が開けにくい」などの顎関節症状が出ることがあります。
- 様々な問題により、当初予定した治療計画を変更する可能性があります。
- 歯の形を修正したり、咬み合わせの微調整を行う可能性があります。
- 矯正装置を誤飲する可能性があります。
- 装置を外す時に、エナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、かぶせ物(補綴物)の一部が破損する可能性があります。
- 装置が外れた後、保定装置を指示通り使用しないと後戻りが生じる可能性が高くなります。
- 装置が外れた後、現在の咬み合わせに合った状態のかぶせ物(補綴物)や虫歯の治療(修復物)などをやり直す可能性があります。
- 顎の成長発育により咬み合わせや歯並びが変化する可能性があります。
- 治療後に親知らずが生えて、凸凹が生じる可能性があります。
加齢や歯周病等により歯を支えている骨が痩せると咬み合わせや歯並びが変化することがあります。その場合、再治療等が必要になることがあります。 - 矯正歯科治療は、一度始めると元の状態に戻すことは難しくなります。